鍼治療と片頭痛予防薬(トピラマート)の効果と副作用を比較した臨床試験が台湾で行われました。¹)
頭痛に対しての鍼灸の臨床試験は日本では少数ですが、ドイツ、英国、米国、中国等では多数行われています。
日本では、頭痛の診療ガイドライン2021²)で、片頭痛予防に対する非薬物療法として、鍼治療を考慮してもよい、鍼治療(非薬物療法)は薬物療法が効きにくい例や患者の嗜好、妊娠中・授乳中の女性患者などに対して考慮され、薬物療法との併用で単独治療に比べ一層高い効果が期待しうることも示されていると記載されています。
薬が効きにくい方や副作用がつらい方は鍼治療を検討して頂ければと思います。
無作為に鍼治療33人、片頭痛予防薬33人に分けて12週後に評価。
鍼治療群: 30分の鍼治療を週2回、12 週間で 24 回の鍼治療
片頭痛予防薬群: 4 週間の服薬、25 mg/日で開始し、毎週 25 mg/日ずつ、最大100 mg/日 まで増加し、その後 8 週間維持。
鍼治療(6%)が局所的な痛みや微細な出血で、1人が仕事の都合で治療を中止。
予防薬(66%)が感覚異常、記憶障害、消化不良、疲労、めまい等でほとんどは軽度でしたが、3人が副作用のため治療を中止。
12週後の評価では、中等度から重度の頭痛日数(頭痛が 4 時間続く日)、月間の頭痛日数、精神的苦痛および全体的な健康関連の生活の質を減らすのに、鍼治療がより効果的であることが証明されました。
参考文献
1)Yang CP,et al.慢性片頭痛予防における鍼治療とトピラマートの比較:無作為化臨床試験
Cephalalgia. 2011 Nov;31(15):1510-21
2)頭痛の診療ガイドライン作成委員会編.頭痛の診療ガイドライン2021(日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修).医学書院.東京.2021 p202-205