片頭痛患者の医療費とうつ病および不安神経症のリスクに対する、鍼灸治療の
長期的影響について、13年間追跡した研究が台湾で行われました。
台湾国民健康保険研究データベースから片頭痛と診断された合計21,209人の患者を特定し、8,570人の患者が鍼灸を受け、12,639人の患者が鍼灸を受けませんでした。
台湾では片頭痛の患者さんの約40%が鍼灸を受けている様です。
評価は対象者の中から年齢、性別、病歴等が同等の患者を1948人ずつで比較しました。
平均年齢は約44歳、三分の二が女性でした。
片頭痛患者の13年間の追跡期間中に
鍼灸 40人の患者さん(1年で1000人あたり3.74人)
非鍼灸 54人の患者さん(1年で1000人あたり6.88人)
がうつ病を発症しました。
鍼灸 336人の患者さん(1年で1000人あたり36.1人)
非鍼灸 548人の患者さん(1年で1000人あたり108.2人)
が不安神経症を発症しました。
性別、年齢、月収、職業等を調整しても、鍼灸を受けている片頭痛患者は鍼灸を受けて
いない患者と比較してうつ病と不安神経症の発症する可能性が有意に低かったことが
明らかになりました。(うつ病 約61% 不安神経症 約51%)
ただし、今回の研究では片頭痛の重症度、頻度等、提供されていないデータもあるので、効果とメカニズムは、さらなる臨床研究で評価する必要があるようです。
参考文献
片頭痛患者の医療費とうつ病及び不安のリスクに対する鍼治療の長期的影響:後ろ向きコホート研究。
Liao CC、Liao KR、Lin CL、Li JM 2020年4月24日fneur.2020.00321 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32390934/